毎日六法

適当に六法を開いて目についた条文の読み込みをします。

刑法179条を勉強してみた

こんばんは、まいぽーです。

 

毎日六法を適当に開く習慣を始めてから3日経ちましたが、ようやく目についた条文について詳しく見ていく時間ができました。

それでは、さっそく今日の条文を見ていきましょう。

 

本日、目に付いたのは、刑法179条です。

 

まずは刑法についてちょっと見ていきましょう。

刑法というのは、「犯罪と刑罰の内容を定め、国の刑罰権がいつ・どういう内容において発生するかを抽象的に明らかにする刑事の実体法」(井田良. 講義刑法学・総論. 有斐閣)です。

まあ、めちゃめちゃ簡単に言うと、悪いことをしたら捕まったり罰を受けたりしますよってことを定めてる法律です。(簡単に言いすぎ)

始めに調べるのがなじみのある法律でよかったです。

でも、刑法は行政書士試験の対象科目じゃないのでちゃんと勉強したことはないんですよね。

 

それでは刑法についてはここまでにして、179条の内容に入っていきましょう。

 

刑法 179条

 ①十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

②十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

 

刑法179条は監護者のわいせつ及び性交等に関する法律ですね。

第○○条の例によると書かれていると、この条文だけ見てもどんなことを規定しているのかわかりませんね。

 

それでは、まずは第1項を最初からみていきましょう。

「十八歳未満の者」とありますね。

ここで問題になるのは、誕生日の中の生まれた時刻の時点で年齢が加算されるのか、それとも誕生日になった時点、つまり0時の時点で年齢が加算されるのかどうかです。

年齢計算ニ関スル法律には「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」とあります。

つまり、年齢の計算は”時間”による計算ではなく”日”による計算なので、誕生日になる0時の時点で年齢が加算されることになります。

ということは、2000年1月1日23時59分に生まれたAさんが2018年1月1日0時に監護者によりわいせつな行為をされた場合、この条文の要件は満たさないということになります。

 

では、「現に監護する者」とは誰のことでしょう。監護者に関する規定は民法820条にあります。

 

民法 820条

親権を行うものは、子の利益のために子の監護及び教育を有し、義務を負う。

 

これによると監護者は親権を行うもの、つまりほとんどの場合は父母ということになります。

ほとんどの場合はと書いたのは、父母のうち片方が親権を持つ場合や父母以外の未成年後見人が親権を持つ等の特殊な場合があるからです。

これに関しては今回は深く触れないことにします。

”現に”監護する者とあるので以前までは親権を持っていたけど今は持っていないというような場合は含まれないようです。

監護するとは、監督し保護することですので、多くの場合は一緒に住んで面倒を見てもらっているということになるでしょう。

”現に監護する者であることによる影響力”というのは、監護者は子を監護することによりその子に影響力を持っているということです。

例えば、8歳の娘Bに対し父親が「言うことを聞かないと家から追い出すぞ」と言ったとします。

Bはまだ8歳であり家から追い出されて自分一人で生きていくということはできません。

なのでBは父親の言うことを聞くしかないのです。

これが監護者の持つ影響力です。

 

つぎに「わいせつな行為」とはどのような行為でしょうか。

判例によると、「徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、通常人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいう」(最大判昭32.3.13)とされています。

具体的に言うと、体に触れたり服を脱がせたりといったことがわいせつな行為に当たると考えられます。

もちろん小さい子をお風呂に入れるために服を脱がせたり、体を洗ってあげたりといった行為はわいせつな行為には当たりません。

 

つまり刑法179条1項の要件は、「18歳の誕生日をまだ迎えていない子に対し、その子の親権を持つ者がその子を監護するにあたってもつ影響力を使って、体を触ったり服を脱がせたりして性的羞恥心を害するわいせつな行為を行うこと」だといえそうです。

では、その要件を満たしたものに対してどのような法的効果が発生するのかですが、条文を見ても「第百七十六条の例による」とあるだけで具体的なことは何もわかりません。

それでは、書かれているように刑法176条を見てみましょう。

 

刑法176条

十三歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 

この条文の法的効果は「六月以上十年以下の懲役に処する」です。

つまり179条の要件を満たしたものに対してもこれと同じように六月以上十年以下の懲役に処されることになります。

懲役とは労役に服させることです。

 

刑法179条1項が意味するのは、

「18歳の誕生日をまだ迎えていない子に対し、その子の親権を持つ者がその子を監護するにあたってもつ影響力を使って、体を触ったり服を脱がせたりして性的羞恥心を害するわいせつな行為を行った者」は「六か月以上十年以下の期間労役をしなくてはならない」

ということだとわかりました。

 

同じように179条2項もみていきましょう。

2項も1項と文章はほとんど同じです。

「わいせつな行為」が「性交等」に、「第百七十六条」が「第百七十七条」に変わっているところのみが違っています。

ではこの新しい語句についてだけ見ていきましょう。

 

実は「性交等」という言葉の定義は刑法177条に書かれています。

つまり今回は177条を見ればすべて解決するということです。

 

刑法177条

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 

性交等の"等”には肛門性交、口腔性交が含まれるということがわかりました。

それらの具体的な意味については…興味があれば自分で調べてください。

私は良く説明しません(笑)

 

そして177条の法的効果は「強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する」です。

つまり。179条2項の要件を満たしたものも、強制性交等の罪にあたり五年以上の有期懲役に処されることとなります。

1項の場合と違って○年以下という表現がないですが、有期懲役とあるので一生というわけではなく期間は定められることになります。

ただその期限の上限が最初からは定められていないということです。

 

1項の説明と合わせて考えると、刑法179条2項が意味するのは、

「18歳の誕生日をまだ迎えていない子に対し、その子の親権を持つ者がその子を監護するにあたってもつ影響力を使って、性交、肛門性交又は口腔性交を行った者」は「強制性交等の罪となり、五年以上の定まった期間労役をしなければならない」

ということです。

 

これで刑法179条の条文を理解することができました。

私は現在18歳以下でも監護者でもないので直接この条文に関わることはないですが、こういった規定があることを知っていて損はないと思います。

一つの条文だけでも新しく知ることがたくさんあるし、読み解くには時間がかかることがわかりました。

同時に法律を勉強するのって楽しいなと思いました。

これからもいろいろな法律に触れていきたいと思っています。

みなさんもぜひ六法を開いてみたり、私のブログやTwitterを見ていろいろな法律に触れてみてくださいね。

 

ではまた次のブログでお会いしましょう!

 

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ブログはじめました!

こんばんは、まいぽーです!

私のブログを見に来ていただきありがとうございます。

初のブログ投稿ということで、まずは簡単に自己紹介とブログ紹介をさせていただきます。

 

名前はまいぽーです。

このブログのタイトルにもなっている毎日六法の最初と最後からとって名前を付けました。

私は現在、11月にある行政書士試験のために法律を勉強しています。

といっても、法令編はまだ憲法民法と基礎法学しか学習できていませんがね…

その勉強の中でふと

 

六法ってこんなにたくさん法律がのっているのに見るのってほんの一部だけだなあ

 

と思いました。

せっかくだから試験に出てくるものだけでなくいろいろな法律に触れてみたいけど、六法を読むって大変なことです。

そこで思いついたのは、1日1回適当に六法を開いて目についた条文を1つ読んでみよう!ということでした。

これなら全然大変じゃないし、毎日いろいろな法律に触れられます。

そしてその条文をただ読むだけではなく内容まで学習すれば法律に関する知識が少しずつ増えていきます。

 

このブログでは、そのたまたま目にした条文の内容を自分なりに解釈していきたいと思っています。

まだまだ法律を勉強したての初心者ですので、温かく見守っていただき、何か間違い等があればやさしくご指摘いただけたら幸いです。

法律なんて全然知らないよって人や私と同じく法律の勉強を始めたての人は、こんな条文があるんだって興味を持ってくれたらうれしいです。

 

条文の内容まで見てブログを書くのは時間のある日しかできませんが、六法を開けることは毎日します。

出会った条文は毎日Twitterのほうにあげますので、そちらもぜひ見てください!

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それでは、また次のブログでお会いしましょう!